あなたは、転職面接で落とされる理由・原因の第1位は何だと思いますか?
これは実際に採用側の面接官に聞いた中での実際の統計ですが、
『やる気が感じられなかった』
これが転職面接で落とされる原因の第1位です。「え!ウソでしょ!」と思われましたか? でも、これは現実なのです。
転職面接なんですから、やる気がない態度で挑む応募者はまずいないでしょう。みなさん、やる気を持って転職面接に臨んでいるはずです。
でもそこで、採用側の面接官は「本当のやる気」を見極めようと、あなたを観察しているのです。やる気が分かるような質問も多くなります。
「転職就職面接における本当の不採用理由」を、応募者にはなかなか開示しようとはしない雇用側ですが、「今回は見合わせる」という逃げ道として応募者に伝えることがあるのが、「キャリア不足」という理由です。
そもそも中途採用の場合、まったく経験も知識も資格もゼロの人は書類選考を通りません。書類ではキャリアを評価されたのに、なぜいまさら「キャリア不足だ」と言われてしまうのか。怒っちゃう応募者の方もいます。
じつはそこに、雇用側のホンネが見え隠れしているわけです。
雇用側が重視したのは、キャリア不足そのものではなく、「キャリア不足をカバーできるくらいのやる気とエネルギーが感じられなかった」という点なのです。
■面接で評価される『やる気』の正体とは何か?
では、この「やる気」というものですが、いざ『やる気』を伝えようと思っても当たり前すぎて、かえってどうやって伝えればよいのかイメージしにくいですよね。
時々、面接の練習でも肩に力が入って、目がギラギラしている人がいます。ちょっと不自然ですが、なんとなくやる気は感じます。ただそれは、与えられたことには必死で頑張ります・・というくらいにしか見えないのです。
それはそれでもちろん良い事なのですが、実は採用側が求める「やる気」は時代とともに変わりつつあります。「やる気」の質が変わってきているということです。
高度経済成長期の企業は、トップがやることを決めて、決めたことをみんなでひたすら忠実に実行すればそれで良い時代でしたが、現代で求められる「やる気がある人」というのは違います。
指示された通りのことをただひたすら頑張るという「指示待ち型」ではなく、自分で考えて主体的に動ける人のことを指すのです。「○○のため・・」という目的を考えながら、それを達成し、さらにそれを超える成果を上げるために行動してくれる人材を求めているのです。
つまり、面接でチェックされる「やる気」は、「主体性」と思っていただいても良いです。
ある会社では、昔から、マネジャーが部下から相談を受けると「で、おまえはどう思うの」と返す、というマネジメントを良くも悪くもずっとやってきた会社です。自分で考えさせることを習慣化させるための象徴的な対話だと思うのですが、これと同じような仕事の進め方が、業種や職種に関係なく世の中のあちこちで言われ始めてきました。
そして、この「やる気・主体性」ですが、いざ示そうと思ってもなかなかできませんよね。そのまま言葉で伝えても意味がないからです。では、面接という短い時間で採用側は何をもってして「主体性がある」と判断しているのでしょうか。
実は、応募者の方が考える「主体性の伝え方」と採用側の「主体性の感じ方」には大きな温度差があるのです。
相談を受けた応募者に、「主体性が求められるので発掘しましょう」とアドバイスすると、「今の職場では決められたルーチンワークばかりだったので、主体性を求められてもアピールできるようなことがとくに思いつきません、何をアピールすればよいですか」といった質問が返ってくることがよくあります。
この方は、本当に主体性のない方なのでしょうか。
そんなことはないんです。この方は、ちゃんと主体的に仕事に取り組んでいても、意識していないから気づいていないだけなんです。非常にもったいない話です。
■物事を「面白がる」のも能力のうち
「やる気」や「主体性」といっても、なにも新しく仕事を生み出すというクリエイティブなことだけではありません。ルーチンワークの中でも主体性は発揮できますし、転職面接で有効なやる気を証明することも可能です。
例えば、お客さんへのちょっとした接し方でも良いです。
お客さんにもっと分かりやすく説明してあげたい、もっと安心させてあげられる笑顔と言葉使いにしよう・・。いろいろともっと効率よく、もっと自分も楽しく・・・。というように、進化を考えながら取り組むことはできます。
「あなたの説明は分かりやすいな~」「あなたの対応は親切で嬉しいな~」
こんな言葉を聞いてみたいと頑張って日々工夫する・・これで良いのです。
主体的な仕事というと、何もないところから新しいことを提案するなど、派手な仕事に目が向きがちです。そして転職面接に向かう時には、往々にしてそうした「派手な仕事」を必死で思い出して、なんとかアピールしようとしがちです。
そんな仕事が思い当たらなかったら、また「ウソ」をつく・・・なんてことになってしまうかもしれません。ちゃんと探せば、派手じゃなくても自分ならではの主体性を発揮した実体験がきっとあるはずです。もし無ければ、今の職場でやってみれば良いのです。
ウソをつかないまでも、よくあるのは「お客様のことを第一に考えて前向きに取り組んできました」というような「きれいな言葉」にまとめてしまうパターンです。これでは抽象的すぎて、具体的にどんな行動をとってきたかということを聞かれた時に、せっかく実体験があるのに語れずじまいで終わる危険があります。
お客さんの反応に応じて説明の仕方を変えることだって、自分で考えた主体的な工夫です。そういったことを思い出さず、ウソをついたり抽象的な言葉で語ったりするのはもったいなさすぎます。ルーチンワークのなかで「何かを面白がってやる」のは、これも立派な能力なのです。
面接の練習で、過去の主体的な取り組みを一緒に発掘していく過程で、気付いた瞬間は、みなさん表情がパアッと明るくなって、声まで活き活きしてくるのが分かります。それによって、あなたの全体の印象もとても前向きで積極的なものに変わるのです。