不満による転職理由を考える時に分かりやすい例えがあります。
それは『引っ越し』です。
「独身時代にしか満喫できない暮らしを・・」と思って、繁華街にある高級マンションを借りたとします。
ところが実際に住んでみると、外がうるさくて部屋も手狭になり、何よりも物件の値段が高い。たくさんの友達も呼べないし、彼女からの評判も悪い・・
でも引っ越したばかりで敷金・礼金がもったいない・・
そんな時に、マンションに雨漏れとエアコンの故障が発生したらどうでしょうか。
こうしたキッカケで、思い切って引っ越しに移ることはありえます。
この引っ越しの例を、転職に当てはめてみましょう。転職のきっかけになった不満は、雨漏れとエアコンの故障に当たります。「○○系の仕事をしたい」という潜在的な転職理由が、「手狭になって外もうるさいし家賃も高いから引っ越したい」というかねてからの欲求です。
別ページでご紹介した「転職理由が矛盾になって失敗したケース」に当てはめてみましょう。
自分に対する会社からの評価への不満が転職のきっかけなのに、転職先の評価制度をチェックしていない。それはつまり、雨漏れとエアコンの故障が引っ越しのきっかけなのに、同じように故障しやすい古い物件に引っ越すことを検討するようなものです。これはどう考えても不自然なことです。
◆転職では不満との上手な付き合い方が大切です
転職理由と不満が切り離せないことは、理解していただけたと思います。
それでは、不満との上手な付き合い方を考えてみましょう。あなたは気づいてないかもしれませんが、実は「不満=ネガティブ」じゃないんです。
例えばですが、派遣社員の不安定な生活が嫌になって「正社員になりたい!」と転職活動をしている人が、転職理由を聞かれたとします。次の二つの答えを比べてみてください。
①「もう派遣で働くのは不安になったので転職したいと思いました」
②「正社員でないとできない仕事に取り組みたくなりました」
二つの答えのうち、どちらが前向きな印象を受けるか、明らかですよね。
どっちの答えも「正社員になりたい」という希望を伝えているわけですが、「派遣が嫌です!」では現状の不満を言っているだけですが、「正社員ならではの仕事ができるようになりたい!」ならば、「実現したいことをかなえたい!」という積極的なメッセージに変わります。
つまり、不満をそのまま言っちゃうと「原因」ですが、不満を解消した未来の姿を想像して語ると、それは「目的」に変わるんですね。
時間軸を現在(過去)から未来に転換すれば、不満を目的に転換することも可能なわけです。
あなたがもし現在の職場に不満を持っている場合は、次の手順で整理をすると非常にすっきりします。隠すことばかりを考えず、不満を目的に転換することを考えてみましょう。
【ステップ1】すべての不満を書き出してみる
【ステップ2】解消したその後の自分の姿を言葉にしてみる
どんな不満でも、想像の世界であれば100%解消できます。変に考えないで、とにかく言葉を裏返してみてください。そうすると、不満が目的に変わります。
転職面接でも、単なる不平不満を並べるんじゃなくて、希望に満ちた転職理由を語ることができるようになるんです。
たとえば極端な例ですが、「社長や周りの社員が出来の悪い人ばかり・・」が不満だったら、「優秀な人たちと競争し合って自分を高めたい」という目的にするだけで、今の会社の不満やグチを直接言わずに言いたいことを伝えられるようになるわけです。
ということで、「不満による転職理由を上手く答える方法」について、わかっていただけたかと思います・・・