このページでは、転職面接に挑むための具体的な「頭と心の準備」についての解説をします。

すべての企業や職場の面接を受ける場合において、あらかじめ準備しておくべきことは、「転職の理由」「志望の動機」「自己PR」になります。この三つは、転職面接における『三種の神器』とも呼べます。それほど重要なものです。

さてそれらを解説していく前に、強調しておかなければいけないことがあります。

「あなたはなぜ、転職したいのか?」

このことを、ここでじっくりもう一度考えてみてください。

転職そのものは、あなたにとって「○○をしたい」という『手段』なはずです。でも、転職活動をしているうちに、なぜか「転職することが目的」となってしまい、混乱してくることはよくあることです。

まず、「あなたは何をかなえるために転職しようとしているのか?」

という原点に立ち戻って、それを転職活動の柱に据えるようにしましょう。それができず柱をを見失ってしまうと、「転職の理由」と「志望の動機」を別々に考えようとしてしまうのです。

例えばよくあるのが、「今の職場に不安と不満がある」という本音を隠しちゃって、「私はキャリアアップがしたいんです!」なんていうウソの志望動機を話すと、

面接官から「じゃ~今の会社ではキャリアアップはできないんですか?」と矛盾を突っ込まれたら収拾がつかなくなります。こんな感じで結局は目的を見失ってしまい、手段が目的になってしまうことは、日本企業の仕事の現場ではありがちなことです。はじめに手段を決めてしまうと、どうしてもそれに固執しちゃうんですね。

いつも、本来の目的・ゴールをイメージして、必要ならば時には思いっきりやり方を変える・・というような、今ビジネスの現場で求められている柔軟性を転職活動でも持ってほしいのです。

目的を忘れない一貫性と、そこにたどり着くまでの方法を見直す柔軟性が必要なわけです。

目的に一貫性を持っていれば、「転職の理由」と「志望の動機」を別々に考えることに、かえって違和感を持つはずです。大事なことは、その両方をカバーする『転職物語』をイメージすることです。その物語のスタートになるのが、「あなたがかなえたい希望は何なのか」ということです。

「今の職場の不満は隠さないとマズイかな」とか「志望動機はどう答えれば面接官に気に入ってもらえるかな」とか、そういうことばかりを考えていてもしょうがないんです。

転職する目的を見失わないで、「なんのために自分はこんな面倒な転職活動をしているのか」を、いつも信念として持っておきましょう。

大事なのは一貫性!そのことを頭に叩き込んだ上で、「転職の理由」についてもっと掘り下げて具体的に考えていきましょう。

■転職理由のウソは簡単にバレます

コンピュータープログラマーのSさんの例で、転職理由の失敗について解説します。

証券会社でシステムの運用や追加設計の仕事をしていたSさんは、顧客には評価されていました。でも自分一人だけ毎日残業で、同じフロアの同僚のほうが仕事もしていないのに給料が高いということを知って、嫌気がさして辞めようと思ったのが転職の動機でした。

プログラミング系の開発ができそうな企業への転職が希望で、さっそく応募したら見事書類が通って、面接に進めることになったんです。

そこでその前に、練習として模擬面接をやってみました。

面接官:「Sさんはなんで転職しようと思ったんですか?」

Sさん:「はい、給与の査定が納得できなかったからです。お金の額よりも評価のされ方が不満で辞めようと思いました」

面接官:「当社に入社してどんなことを実現したいんですか?」

Sさん:「プログラミング系のシステム開発ができるようになっていきたいと思います」

面接官:「どうして当社を選んだんですか?」

Sさん:「御社様のホームページを拝見していると、教育制度が充実しているとあったので、いろいろ新しい技術を身につけられるのではないかと思って応募しました」

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まずここまで、どうでしょうか? なんか気になるところはないでしょうか?

Sさんは、このやりとりに自信はあったようで、「聞かれたことには無事アピールできた」という自己評価でした。

でも、まず私が面接官だったならば、「当社の評価制度はどうやってお調べになったのですか?」と聞きたくなります。

自分に対する評価が低いことを理由に辞めるということは、「私は評価のされ方が満足できないとすぐ辞める人間です」といっているようなもんです。

もちろん、求人が出ていて「○○のプログラマー高評価、急募。月額給与○○万円」なんてあれば別ですが、「御社の評価制度については、まだ調べておりませんでした」と答えるとどうでしょうか。「評価に対する不満を解消させたくはないのですか?」とさらに突っ込まれたらもう終わりですよね。

このケースでは、面接官のほうが論理的です。面接官は論理的におかしいところをただ確認しているだけなのに、想定問答しか考えていないから「ヤバ!想定外!」となってしまうのです。

ましてや緊張なんてしていたら、想定外に直面すると頭が真っ白になって何も答えられなくなってしまいます。

「えっと・・・実は私が辞めようと思った理由は他にもありまして・・・」と、辞める理由についてツジツマを合わせることだけに意識がいってしまい、もっと余計な不満が口から出てしまうのです。

こんなふうに、転職理由として「現在の職場への不満」がある場合では、「不満の解消」が転職の目的になっていないと整合性がとれないわけです。

面接の本番でこんなふうにつまずいてしまうと、面接の通過はまず無理です。今の会社に対する不満が問題というよりも、一貫性のない考え方や転職活動ぶりのほうが、面接官は嫌悪感を感じるのです。

それならば、まだ素直に現在の職場の不満を話したほうがマシです。(もちろん、それが正当性の無い理由であれば不採用ですが・・・)

■転職活動で現職への不満は隠さなくていい

ある面接官は

「転職先に求めることを3つあげてください」 と聞いた上で

「どうして、そこにこだわるのですか?」 と確認して

「それは、今の職場ではどうしても実現できないことなんですか?」
「ウチの何を見て、あなたの望みがかなうと思ったんですか?」

と掘り下げて聞いていきます。

その狙いはもちろん、転職理由と志望動機の一貫性の確認です。

ある会社では、自社に入社してやりたいことを聞いて、応募者が現在勤めている職場でも実現できそうなことを語ろうものなら、「転職しないほうがいいんじゃないですか?」と問い正しています。

それに対してきちんとした理由が話せないと、「転職する目的が認識できてない、筋が通っていない、またすぐ辞めそう」と、不採用にされてしまいます。

転職理由をきちんと固めておかないと、こういった矛盾に気付けないんです。面接の本番で突っ込まれて、その時点ですべてが終わってしまいます。せっかくの今までの努力が無駄になってしまいます。

先ほどの事例のように、自分への評価が納得できないことが理由で転職しようと思うのなら、次の就職先を探す時には当然、どんな評価制度なのかはよく調べておくべきですし、自然と一生懸命に調べるはずです。

それで志望理由に「評価制度がきちんとしていると判断したので応募いたしました」と答えれば筋が通りますし、一貫性が生まれるのですが、そうじゃないと矛盾だけが残るわけです。

さて、「じゃ~一貫性のある転職物語はどうやって作ればいいの?」となりますが、難しいことではありません。現在の不満を、きちんと整理してまとめれば良いんです。

今の会社になんの不満もない人が、本気で転職活動なんてするでしょうか。

企業側だって、「不満もないのに転職したいという人」に対しては、「またすぐ辞めるかも」という不安を感じるのも自然ですよね。

これで、不満を隠す必要はないということが、お分かりいただけたでしょうか・・・




 

転職理由や志望動機で失敗する例」の解説ページです。


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