転職・再就職の理由や動機には、「やりたい転職」と「辞めたい転職」があります。
あなたが今、転職を考えている理由はなんでしょうか?
上司や職場環境に対する不満があるからでしょうか?
それとも、他にもっとやってみたい仕事や環境があるからでしょうか?
最近は、自分の意志とは関係なく、転職というよりは、雇用側から辞めさせられたり、辞めざるを得なかったりと、非自発的に職場を変えなければないない場合も多くなってきました。
このような転職・再就職の場合は、現在の仕事場に対して不満があろうがなかろうが、他にやってみたいことかあろうがなかろうが関係なく、雇用側の都合によって転職をせざるを得ないわけですから、残念ながらあなたの意思は関係がありません。
つまり「仕方ない転職」があります。
「仕方ない転職」の場合、あなたが考えなければならないのは、いかにできるだけ有利な条件で退職をするかという一点のみになってきます。退職金を割り増しでもらうとか、一定期間の猶予をもらうとか、次の仕事先を紹介してもらうとか・・・
これらは、経営者との交渉にかかっています。
一方、あなたの自分の意思による転職の場合には、転職したいと思う理由に大きく分けて2つの種類があるかと思います。
ひとつは、現在の病院・薬局に対する不満や悩みがあって転職をしたいと考えている「辞めたい転職」と、もうひとつが、現在の職場にはない他のやりたいことがあって転職や独立をしたいと考えている「やりたい転職(独立)」です。
もちろん、転職(独立)をするということであれば、「やりたい転職(独立)」であって欲しいと思いますし、そのためには万全を期して転職に挑戦してほしいと思います。
あなたの意思で転職を考える場合には、まず転職(独立)ありきではなく、転職(独立)をするか、現在の職場に留まるかということを平等に考えるところからはじめて頂きたいと思います。
■「とりあえず今の職場を辞めたい」という転職は成功しない
ちなみに、「辞めたい転職」とはどんなものでしょうか?
ただなんとなく辞めたい。今すぐにでも辞めたい。とりあえず辞めれば今よりはマシだろ・・・、転職理由や動機としてで多いのは、実はこのパターンなのかもしれません。
頑張って良い仕事をしても上司が評価してくれなかったり、同僚と価値観がまったく合わなかったり・・・といった人間関係。他には、地味な作業ばかりで嫌だとか、拘束時間が長い、給料が少ないといった仕事の内容や職場自体への不満。
いろんなケースがあると思いますが、「辞めたい転職」の人は、「一刻も早くこの職場から逃げ去リたい!」ということを第一に考えています。
もちろん、中には耳を疑いたくなるような、あリ得ないブラックな職場もありますが、それは本当にごく一部のお話しです。程度の差こそあれ、本当にひどい企業・会社というのは、そうそうあるものではありません。というより、その程度のことは、どの企業・会社でもあるお話しばかりです。
「隣の芝生は青く見える」という言葉もありますが、知り合いや友人から聞いた職場は良いなぁ、なんて思ってしまいがちです。そのため、自分のいる環境の悪い面ばかり際立って見えてしまうのです。
そうなると、「このままでは自分は出世できない」とか「この職場では未来はない」なんて短絡的に考えてしまったりするのです。本当に自分の環境は良くないのか、それは転職して解消されるものなのか、そもそも自分が本当にやりたいことは何か・・・
あなたが本当に良い転職をしたいのであれば、やはりそこを踏まえた上で、「それでも辞めたい」という結論を出さなければいけないと思います。
■「○○のような仕事がしたい」というイメージだけではダメ
また、現在の企業・会社に特別な不満はないものの、他にやりたいことがあるということから転職を考えている「やりたい転職(独立)」の方も、もう一度そのやりたいことを真剣に考えてみてください。
というのも、やりたいことがあると言っても、漠然と「○○系の仕事がやりたい」とか、「○○病院で働きたい」というのでは、その転職が成功する可能性はあまり高くはないからです。
「○○系の中のどんな仕事を、どうしてやりたいのか」あるいは、「○○病院でどの科でなんの仕事をしたいのか」など、できるだけ具体的に考えて頂きたいと思います。
とにかく、「○○病院に採用してもらえれば良い・・」。○○の仕事がしてみたいというような目的もなく、イメージで転職先を決めてしまうと、こんな失敗をしてしまうことになります。
ある美容成形外科と健康を掲げたオシャレな医療機関で、受付の仕事のために採用された看護師の女性A子さん27歳が、転職して1週間も経たずに辞めてしまったというお話しがありました。
「その職場の雰囲気が自分には合わないということが行ってみて分かった」、ということであればまだ分かるのですが、聞くところによると、その女性が辞めてしまった理由というのが、「医療受付の仕事ということで転職したのに、事務仕事の割合が多い」「経理みたいなことまでさせられる」というようなことだったというのです。
オシャレな美容外科の受付といっても、ただニッコリ座っているだけということは一般の病院・薬局ではまずあリえません。受付業務であれば、事務の仕事がともなうのは当然ですし、お金を扱えば出納帳などの記録をするのは当たり前のことです。
笑い話しなのか唖然とするお話しなのか?・・・。どうもA子さんは美容成形外科と仕事のイメージだけで転職をしてしまった典型的な例のようです。